基礎はなぜ基礎なのか
どんな物事にも基礎がある。
何かトリッキーなことをやろうにもまず基礎がありき。
基礎を疎かにしては良いものは出来上がらない。
勉強でもスポーツでも仕事でも全て同じことが言える。
今回はNBA歴代最高のパワーフォワード(桜木花道のポジション)であるティム・ダンカンを例に挙げて基礎の大切さを学んでいきたいと思う。
『The Big Fundamental』
サンアントニオ・スパーズ(2016年引退)
ポジション:パワーフォワード
【主な受賞歴】
5× NBAチャンピオン (1999, 2003, 2005, 2007, 2014)
3× NBAファイナルMVP (1999, 2003, 2005)
2× NBA最優秀選手賞 (2002–2003)
No.21 サンアントニオ・スパーズ永久欠番
今回はダンカンはあくまで例として紹介するだけなので手短に。
彼は非常に地味なスーパースターだ。
ジョーダンのように空中を舞い華麗なダンクをぶちかますわけでもなければ、
カリーのように信じられない程遠い位置からスリーポイントを射抜くわけでもない。
ダンカンは決して身体能力や備え持つスキルが突出していたわけでないのだ。
彼のプレイは誰もが真似し得るものだった。
相手をよく見る、
横が空いているならドライブで中に切れ込む、味方が空いているならパスをする、
自分が撃てる位置にいるならシュートを撃つ、相手にリバウンドを取られないようポジションを取る、
その全てが基本に忠実だった。
安定感・正確性、そしてスター選手ながら一切傲るがことないというチームへの献身性。
彼は誰にでも出来ることをただ愚直にやり続けた。
彼のプレイは華がなく、時には「boring(退屈だ)」と批判されることもあった。
しかしそんな批判を一切気にすることなく、ダンカンは彼のバスケットを貫き続けた。
バスケットの教科書とも評されるダンカンのプレイは基礎中の基礎を磨きにかけたもので、故に隙が無く、攻守共に最高クラスの選手としてリーグに君臨した。
また身体能力に頼ったプレイスタイルではなく彼の強さは積み重ねた技術によるものだった為、
選手生命が非常に長く、入団当初から引退まで常にトップクラスの選手であり続けた。引退年はなんと40歳にもなっていたが、衰えても尚ダンカンはダンカンであった。
結果的に彼の所属したスパーズはダンカンのキャリアの19年間で5回の優勝、ダンカン個人としては2回のシーズンMVP、3回のファイナルMVPを受賞し、歴代最高のパワーフォワードと評されるようになった。
【バンクショット】
ダンカンの必殺技といえば「バンクショット」。
どんな技かというとバックボードに当ててシュートするという撃ち方である。
そう、体育の時間とかで「あの四角形の角の部分を狙うんだよー」のシュートである。
感の良い者であれば体育の時間だけで出来るようになるこのシュートこそがダンカンの必殺技なのだ。
基本に忠実な彼を物語るような技で、ただそれだけなのだがそれが中々止められない。
【基礎とは】
さあここまでダンカンを例に挙げてきたが、私が言いたいことは彼は基礎の最終形態にあったということだ。
基礎が基礎たる所以、それは基礎だからだ。
基礎が基礎と呼ばれるに至るまで、あまりにも多くの人の考えの果てに基礎は出来上がった。
つまり基礎は一つの答えであり、ある種の真理であるはずだ。
「基礎はこうしろって言ってるけど実際こうじゃない?」などといった考えを何千周もしたのちに基礎は出来上がっていると思っていい。
何万人・何億人もの先人の試行錯誤の結果こそが、基礎なのだ。
そんな基礎を疎かにしていいはずがなく、むしろ基礎を磨くことこそが、成功への一つの答えなのだとダンカンが教えてくれた。
NBAという自分とは遠く離れた次元の舞台ですら、基礎の重要性は確かなものである。
ならばスポーツに限らず、全てのことで基礎を学び続ける意欲が必要だ。
基礎的な練習しか出来ず、応用を学びたくて焦る時は彼のメンタリティを思い出そう。
小さなことからコツコツと。