消しゴム達の墓場

消しゴム。

今までの人生で幾度とお世話になってきた。

間違わない人間などいない。

間違っては消し、間違っては消し、過去の誤りが無ければ今の自分は存在しないだろう。

 

 

 

だがそんなにお世話になった消しゴムの最期を看取った人はどれくらいいるだろうか?

あれだけ自分のケツを拭いてくれた消しゴムを無くなるまで使ったことはあるだろうか?

 

思い返してみてほしい。

自分の筆箱に入っている消しゴム。

君は第何代目だ?先祖達はどこにいる?

 

そう、消しゴムはその命の灯火が無くなりかけると猫のように忽然と姿を消す。

もう消しゴムというか黒ずんでカスみたいな状態になった消しゴムを最後まで使い切るのは至難の技である。

 

 

 

 

正確には消しゴムが姿を消すのではなく我々の中で消しゴムの存在感がどんどん薄くなっているのだ。

白く角が立っていた若い頃はあれだけ筆箱の中で堂々と居座り、スペースを取っていた消しゴム。

時が経つにつれて黒く痩せかけていく。

「わしも昔に比べてずいぶん丸くなったのう」そう言わんばかりに肩身が狭くなっていく。

初めに着ていた服もいつの間にか脱がされ、あられもない姿になっている。

その小さすぎる背中にかつての面影は既にない。

若手の消しゴム達も幅をきかせ始め、より居場所はなくなる。

 

そしていなくなる。

どこかのタイミングで使用したことも忘れ机に置きっぱなしにされたのか。

それとも小さすぎて転がっていったのか。

なんとも悲しい最期である。

 

 

もしSFならそんな怨みが募った消しゴム達が合体し、人間を襲ってくるみたいなストーリーおもしろくね?

 

『ERASER』〜次に消されるのはお前だ〜

 

みたいなタイトルで映画どうっすか?

ひえええ面白そ〜。

スティーブン・スピルバーグ兄やんよろしゅう頼んます。

 

 

などと冗談はさておき、ようは大切に物を使おうということが言いたいのだ。

消しゴムの原料であるプラスチックも油も限られた資源である。

 

長年愛着を持って扱った物には付喪神という精霊が宿ると古来からの言い伝えがある。

神様を捨てたらあかんね。