ファミリーヒストリー 〜松坂〜

父親と久しぶりに一対一でちゃんと話した気がする。

 

 

言おうと思っていたけどなかなか言う機会が無くて…

そういって父親が突然おもむろに語り始めたのは松坂家のルーツであった。

 

 

 

今宵お届けするのは知られざる松坂家のファミリーヒストリー…。

 

 

 

 

まずは「松坂」という名字の由来から。

 

以前一般的な「松坂」という名字は三重県からきていることが多いというような話はしたが、どうやらうちは全く関係なかったようだ。

 

ルーツはなんと和歌山県

東牟婁郡串本町というところ。

現在の田子駅の付近が松坂家が先祖代々暮らしてきた場所。

 

私の父親が幼い頃には親戚の家によく遊びに行ったらしいが、最後に訪れたのは結婚記念の際らしい。30年近くは足を運んでいないことになる。

私もその話は初めて聞いたし、当然訪れたこともない。

 

 

 

家に向かう途中には大きな坂があり、その横には松の木が並んでいることから松坂と名乗り始めたと語り継がれている。

 

三重県とは一切関係なかったということだ。

 

 

 

 

 

その串本町の地で、私のひいおじいちゃんにあたる人が

「こんな田舎で生涯終えるつもりはない。一旗揚げてやる!」

と奮起したのが松坂家のターニングポイント。

 

 

なんとひいおじいちゃんは名字の由来となった松の木を切ってしまったそうな。

 

建築屋を営むと豪語し、乗り込んできたのは大阪。今の私のおじいちゃんが住むところである。

(切った松の木は建築材料として持ってきたのか…?)

 

 

そうして故郷を捨て新たな地で根を張り出したひいおじいちゃん。

「先祖に合わす顔がないからオレの骨は大阪に埋めてくれ」と言い残し、大阪の四條畷の墓地に埋葬された。

そこから松坂家の墓は大阪になる。

 

 

 

私も元々は大阪住まいであったが、小学校入学を機に兵庫県西宮市に引っ越し、現在に至る。

いずれ私の墓も大阪に出来る様になるだろう。

 

 

 

 

何をきっかけに父親がこんな話をし出したのかはよくわからないが、先祖のこと・自分のルーツなんて今まで考えたことも無かったから非常に新鮮に思えた。

一度遠いご先祖様に挨拶に行かなくては。

 

 

 

 

 

 

 

余談だが、串本町の松坂の墓は人気が少なくなり管理する者がおらず、雑草などで酷く荒れていたそうだ。

それを見かねたおじいちゃんが、お坊さんに相談したところ

「ご先祖様は土には還っているから、串本町の土を四條畷に持ってきて埋めてやれば先祖の想いが報われますよ」

との回答を得られた。

 

 

その言葉通り四條畷の墓地には串本町の土が持ってこられた。

 

バツが悪いと先祖を敬遠したひいおじいちゃんの元に結局先祖たちがやって来てしまって、ひいおじいちゃんは天国でタジタジなそうだ。