スマホを落としただけなのに
ケータイを電車に忘れた。
乗り換え時ににどうやら落としてしまったようだ。
すぐさま駅員室に向かいその旨を伝えた。
しばらくして梅田駅で車内点検の際に無事発見されたことがわかった。
ケータイを取りに行く為、地元の駅から梅田駅に向かう。
ケータイを見ずに電車に乗るのはいつぶりだろうか。
少し顔を上げて周りを見ているだけで、いつも下を向きケータイを眺めているだけでは分からないことにふと気がつく。
車窓から流れる景色。
天気の良い今日は青い空と白いマンションに差し込む夕日が清々しい。
隣に座る50代くらいの女性はマスクを使い古しているのかもう耳にかける紐の部分がよれよれだ。
ちゃんと消毒はしているのだろうか。
向かいの若い男性はイヤホンに結び目が出来てしまっている。
雑に鞄に入れていたのだろうか。
見渡すと車内にいるほぼ全員がスマホに夢中なことに気がつく。
電車が止まり車内に入ってくる人もスマホを操作しながら、入る時だけ少し足下に視線を移した後またスマホをいじる。
別にじろじろと凝視しなくてもぱっと見で様々な情報がわかる。
私は今までどれほど周りが見れていなかったのだろう。
いつの間にかスマートフォンありきの生活になってしまっていたのだ。
私がケータイを忘れたのも、操作しながら寝てしまい鞄の上に無造作に置いていたところ、乗り換えの駅になって焦って降りたことが原因だ。
今はもう親の顔よりスマホを見ている。
スマホを落としただけなのに、梅田に着くまでのおよそ20分の間に色んな景色を見て、色んなことを考えることが出来た。
顔を上げれば見える世界が変わる。
今度から敢えてスマホを見ずに考えを巡らせる時間を設けてみようと思う。
と、電車に乗りながらスマホで記事を書くこの不思議かな。