地雷 最低の商売

中学の時の道徳の授業で未だに印象に残っているビデオがある。

 

 

地雷のビデオだ。

 

 

地雷というのは本当にタチが悪い。

 

戦場において死者を一人抱えているより、怪我人を抱えている方がコストがかかる。

死んでしまったらその人を弔えばそれで終わり。

しかし怪我をしているとその兵士の治療費・食費などは常にかかり続ける。

 

地雷は「ちょうど死なない威力」に調整してあるのだ。

片足が吹き飛ぶ程度で、死に切れない。

おまけにそんな者たちが増えていくと戦意というのは徐々に消失してくるものだ。

肉体的・精神的・経済的に敵を追い込むえげつない策略。

 

 

そしてそれは兵士に対してだけではない。

民家に押し入った時も非道な兵器を最悪なプレゼントとして民家に残していく。

ぬいぐるみの中に仕込んだ地雷、おもちゃに似せた地雷。

それらは後に無垢な子供たちの命を奪う。

いや、命はちょうど奪わない。奪うのは手や足などの身体機能。

民間人の医療費でも国力は低下するし、いずれ兵士になる者の戦力を削げる。

むしろこうした対人地雷の犠牲となっているのはほとんどが民間人だと言われている。

 

 

 

あまりにも狡猾で残忍。非人道的。

 

 

 

しかし私が最も許せないのはその地雷を除去する会社を営む社長だった。

なぜって?

その会社は地雷を除去すると同時に地雷の製造も行なっているからだ。

 

自分で作った地雷を自分で除去する。

言うなれば医者がウイルスをばら撒いて自分で治療するようなものだ。

加害者側も被害者側からも金を巻き上げる。

一般的に地雷一つの値段に対して除去をするのにはその50倍の費用がかかると言われているし、彼の会社はボロ儲けだろう。

 

 

よくそんな人の皮を被った悪魔のような存在が堂々とテレビに出てインタビューに答えているものだ。

 

私の担任も彼だけは許せなかったらしく、

「こんな奴死んだらええ」と教師としては信じられない発言をしていたが気持ちはわかる。

人が生死を彷徨っている横でそれを食い物にしているクズが存在していることがどれほど腹立たしいか。

拳を固めて歯を食いしばりながらビデオを見たのは初めての経験だった。

 

 

 

そんな現状を変えるべく立ち上がったのは日本人の技術者だった。

これまでとは革新的に安く、安全に地雷を取り除く対人地雷除去機を開発。

明るい方に未来が向かっていくというような流れでビデオは終了した。

 

 

 

 

未だにあの社長より「悪人」という言葉が似合う人間を見ていない。

いつか何かの間違いで彼と面と向かうことがあれば私は何の躊躇いもなく思いっきり顔面をぶん殴るだろう。

別に自分の身内が地雷の被害を受けたわけでもない。

が、私に人間の血が流れている限りそんなクズを殴らないではいられない。

 

待っとけクソ野郎。