NBA現役TOP7 ⑥カワイ・レナード
『最強の矛盾』
カワイ・レナード
ポジション:スモールフォワード
【主な受賞歴】
NBAチャンピオン : 2014, 2019
NBAファイナルMVP : 2014, 2019
スティール王 : 2015
NBA最優秀守備選手賞 : 2015, 2016
優勝請負人。
彼を説明する際によく用いられる言葉である。
2012.、2013とNBAチャンピオンに輝いていたマイアミ・ヒート。
レナードは当時22歳とまだ若手だったにも関わらず、エースのレブロンを徹底マークし、ヒートの3連覇を阻止した2014年。
結果レブロンは移籍、ビッグ3は解体されることになる。
カリーとデュラントの回で説明した通り2017、2018とNBAチャンピオンに輝いていたゴールデンステイト・ウォリアーズ。
2019シーズンには更にオールスターのセンターまで獲得し、ビッグ5とも言われた優勝の最有力候補。
それどころかシーズン開始前には「今年のNBAは観る価値がない」とまで言われ、その圧倒的な強さには皆が意気消沈するほどだった。
しかし、結果的に優勝したのはレナードが移籍してたった1年目のトロント・ラプターズであった。
ラプターズは球団史上初の優勝であり、ドラマよりもドラマチックな展開に私は言葉を失った。
(デュラントをはじめとしたウォリアーズの主力に怪我人が続出したことも大きい)
結果デュラントは移籍し、ウォリアーズは2020年シーズン、未だに怪我人に悩まされウエスタンカンファレンス下位を彷徨っている。
レブロン・ジェームズ率いるマイアミ・ヒートのビッグ3の時代、
ステフィン・カリー率いるゴールデンステイト・ウォリアーズのビッグ4(5)の時代、
その両方の時代を終わらせた男がこのカワイ・レナードなのだ。
そして2014と2019の両方でファイナルMVPを受賞していることからも彼の勝負強さが窺える。
どんな敵が相手だろうと関係ない。
彼は常に冷静沈着に勝利だけを見つめている。
派手なパフォーマンスや、センセーショナルな発言など、プレイの邪魔になりうることはしない。
勝利に飢えた彼は誰よりも貪欲にひたすら自分の仕事を全うする、冷血なバスケットマシーンなのだ。
【伝説のブザービーター】
そんな彼が残した今後数十年語り継がれるであろう伝説のショット。
2019年プレイオフ東の準決勝 第7戦 トロント・ラプターズvsフィラデルフィア・セブンティーシクサーズ。
勝てば次に進み負けたら終わりという極限まで緊迫した場面で彼はやってのけた。
何万人が埋め尽くす会場が沈黙した数秒間。
静寂の中にリングにボールが跳ねる音がこだまする。
その後ボールがリングに吸い込まれた瞬間、会場は歓喜の声に包まれる。
いつもはクールなレナードも興奮を抑えられず叫ぶ。
この勢いのままラプターズは優勝することになる。まさに伝説である。
【プレイスタイル】
◉盾
彼の特徴といえばその長い腕と大きな手である。片手でがっしりとボールを掴めるその手からClaw(爪)という異名で呼ばれることがある。
優れた洞察力と大きな手と長いリーチを使ってディフェンスではスティール(相手からボールを奪うプレイ)を量産する。
彼の前で少しでも気を抜こうものならボールは既に自分のもので無くなってしまうと思った方が良い。
まるで獲物を狙う獣のようにレナードは常に隙を窺っている。
スティール王と2度の最優秀守備選手賞の受賞からも彼の圧倒的な対人ディフェンス能力の高さが分かるだろう。
一瞬の隙をも見逃さないレナード。
◉矛
NBAで最強と呼ばれる為にはもちろんディフェンスだけではいけない。
レナードは最強のディフェンダーであると同時に最強のスコアラーでもある。
フィジカルも強く、外からでも中からでも点を取れるレナード。
どんな場面でも彼にボールを渡せばなんとかしてくれる安心感がある。
また先のブザービーターからもわかるように、彼の勝負強さは異常である。
プレイオフなど大舞台になればなるほどその集中力は増し、殺気にも似た威圧感を放つ。
攻守にわたって大活躍のレナード
まさに一人で最強の矛と盾を持つ、矛盾を抱えた選手なのである。
そんな彼が現在所属するロサンゼルス・クリッパーズは、レブロン率いるロサンゼルス・レイカーズと共にウエスタンカンファレンスの大本命と言われている。
1/22現在レイカーズが西1位、クリッパーズが西2位とそのライバル関係に目が離せない。
また、シーズン後半からプレイオフにかけて徐々に調子を上げていく印象が強いレナードが、今年はどんなエキサイティングやバスケを見せてくれるのか乞うご期待だ。