思い出の駄菓子屋 〜A hurtful memory〜

昔よく行った駄菓子屋さんに「取り壊します」と貼り紙が貼ってあった。

老夫婦二人と犬一匹で営んでいたお店だった。

 

 

そこは二階建ての構造で、一階のお店の営業自体は数年前に既に終了していた(2階の住居スペースに夫婦で住んでいたのか、貸していたのかはわからない)。

というより、正確にはいつの間にか閉店していたことに気がついてから数年経った。

 

中学に上がってからはめっきり駄菓子を買う機会などは無くなったから閉店していても気付くきっかけが無かったのだ。

それほどまで、駄菓子屋との縁は無くなっていた。

 

そうか、もうとっくに営業はしていないし、あの夫婦も犬もここにはいないんだ…と思いながら通り過ぎた。

 

 

 

 

 

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入店すると

♬テレテレテレテレテーテレテレーテレテレー

と『エリーゼの為に』が流れる。

 

でかい犬がワンと吠え、子供たちは少し驚く。

小学生の行きつけになっていて、私もよくうまい棒のコンポタ味を買っていた。

幼い頃のちょっとした思い出の地だ。

 

 

 

 

 

いつの日だったか、私は友達と遠足のおやつを買う約束をして駄菓子屋の前で待ち合わせをした。

ただ友達が集合の時間になっても現れない。

 

 

外で待ってるのも変だなと思い、中に入って駄菓子を選び始めた。

そこで手に取った「タラタラしてんじゃねーよ」

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なんの気なしにふと裏面を見る。

なんと賞味期限が半年ほど過ぎている。

すかさずレジのお婆さんに告げる。

 

 

 

私「あのーこれ賞味期限切れてるんですけど」

婆「じゃあ買わんかったらええやん」

 

 

 

!?謝られて取り替えるかと思いきゃまさかの開き直り。信じられない。

一応食品を扱っている立場のくせに、衛生責任を完全に放棄。

どころか客を煽り出す始末。人に物を売る態度ではない。

 

許せん。

衝撃のリアクションに私のボルテージは一瞬にしてMAXになった。

 

 

 

私「じゃあ買わんわボケ!! 二度と来んわ!!」

 

 

 

♬テレテレテレテレテーテレテレーテレテレー

 

 

暴言を吐き、店を後にした。

賞味期限の事件がショッキングすぎて、その日約束をしていた友達とどうなったかあまり覚えていない。

 

 

 

この一件から私は言葉通り、駄菓子屋に訪れることは一切無かった。

一回もだ。

あの駄菓子屋は閉店して然るべきで、同情の余地など一切ない最低のお店だ。

ガキだからといって舐めた態度をとってくるなんて接客業としてのいろはが全くなってないし、良い思い出なんて全くない。

 

婆さんの憎たらしい表情が脳裏に焼き付いていて、店の前を通るたびに虫唾が走っていた。

 

淘汰されるべきものが淘汰される世の中なのかもしれない。

 

 

 

 

※タイトルのhurtfulは苦痛を与えるという意味で、同じ「ハートフル」の読みで

heartful=心温まるにミスリード出来るかなという実験的試みでした。

 

序盤を読んで

「こいつ英語の綴り間違えてやんのー!バッカでー!」

と思ってくれた人がいたら松坂はめちゃくちゃ喜びます。